

鹿児島黒牛
大規模農家だけを守っても
小さな農家がいなければ
地域農業は成り立ちません
日本一美味しい黒毛和牛 黒豚が有名な鹿児島県は、黒毛和牛に関しても県内の生産者は非常に高い技術を持っています。例えば、5年に一度開催される「和牛のオリンピック」とも称される全国和牛能力共進会において、直近の大会で全9部門のうち6部門で鹿児島県の黒毛和牛が1位を獲得。内閣総理大臣賞も受賞するなど、「和牛日本一」の栄冠に輝いています。また、畜産の盛んな九州地区で開かれる大会でも、鹿児島県の畜産農家が1位に選ばれています。その鹿児島県内で行われる鹿児島県肉牛枝肉共進会で、地区4連覇を成し遂げているのがJA鹿児島いずみです。2024年は私もグランドチャンピオンに選ばれ、地区の連覇に貢献できました。

出水の名前でもPRしていきたい 「全国1位の県の中で1位」の評価を得ているのが「出水の和牛」なんですが、そのような地域ブランドとして出せる体制もあると良いなと思っています。特に今は、国の増頭政策もあり牛の頭数が増えすぎて牛肉が余ってきています。物価高で経費もかさんでいますが、正直、牛肉の販売価格には農家の経費が反映されているとはいえません。出水の和牛は素晴らしいので、将来的には「鹿児島黒牛」のブランドに加えて、出水市という魅力ある地域性も含めた独自性のあるPRもできれば良いなと思います。
農業に必要な共同精神
先ほど和牛は頭数が増えたといいましたが、増やした多くは大規模農家です。私達のような家族経営の小さな個人農家は増やせないし、自分達の代で畜産を辞めるという話は周囲でもよく聞きます。補助金も大規模事業者の申請は通りやすい一方で、小さい農家はなかなかもらえないのが実情です。この現象は農業全般に言えることで、数字に表れていない小さな農家の価値はもっと認められるべきだと思います。
例えば、田んぼにしても大規模な水稲農家は、あちこちに圃場を持っているので、それぞれの地区で共同管理する水路の掃除などに出てこれません。では、小さな農家がいなければどうなるか。水路が荒れて生産活動が滞るわけです。スマート農業や機械化により、農業の大規模化が進んでいます。しかし、農業は一人ではできないし、自分だけ儲けようという人や企業が増えると農業は成り立ちません。もっと小さい農家の価値を見直して、小さい農家も支える政策の拡充を国には求めたいですね。
鹿児島黒牛

全国トップブランドとして知られる鹿児島黒牛は、「KAGOSHIMA WAGYU」の名前で北米や欧州、アジア各国でも需要を伸ばしています。鹿児島県の中でもJA鹿児島いずみ管内は、高い肥育技術を有する生産者が多いことで知られています。「少ない数を大事に飼う」を信条とする鶴喰さんは、夫婦2人で約70頭の牛を世話しています。一番好きな部位は「さがり」だそうで、「最も動いている横隔膜の一部で趣のある味わいで美味しい」と語ります。
ONLINESHOPへ