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生産者の声
赤土バレイショ
大平 洋光さん(72歳)
鹿児島県出水郡長島町
馬鈴薯、水稲生産者

日本一を目指す姿勢が
地域農業に活気や未来
関係者の絆をつくるんです

赤土で育つ優れた馬鈴薯  現在の長島では、ミネラル分を豊富に含んだ赤土の土壌を生かす馬鈴薯の栽培が盛んです。島外に出た孫は「爺ちゃんのジャガイモを食べた後に、他で採れたものは食べられない」と褒めてくれます(笑)。長島の馬鈴薯はそこまで古い歴史があるわけではありません。私が知っているだけでも、いくつもの作物が地域農業の主力に選ばれては転換していきました。私の圃場がある長島の山の方には、石垣を組んだ段々畑が数多く営まれており、馬鈴薯が栽培されています。この段々畑もつくられ始めたのは約60年前で、そもそもはみかんの栽培が目的でした。

時代で変わる主力作物  山の斜面にある畑の有効栽培面積を少しでも増やし、水捌けを良くしたいなどの思いで段々畑を組んだんです。長島は石の多い島で、当時小学生だった私もリアカーに石を積んで、石垣職人が作業をする場所まで運搬した記憶があります。親父は農閑期に大阪などに出稼ぎに行き、石垣づくりの費用を貯めていました。親父達の代が苦労してみかんの段々畑をつくりましたが、10年くらい経つと全国でみかんがダブついて価格の大暴落が起きました。国がみかん栽培を奨励していたのに、今度はみかんの樹の伐採や抜根に補助金が出る有様に。みかんが消えた段々畑では、今度はサツマイモなどが栽培されるようになりました。その後、大手菓子メーカーとの契約で加工用の馬鈴薯を手がけるようになり、「せっかく恵まれた赤土があるんだから」と青果用の馬鈴薯が今では主力作物になっています。

日本一を目指す理由  私は自分が生きているうちに長島の馬鈴薯を日本一にしたいんです。そのような評価を全国の人が持つようになれば、後輩達は安心して生産活動に励めるし、後継者も増えてくるでしょう。少ない面積でも経営が成り立ち、小さな農家を守ることができるかもしれません。未来を築くためには、農家一人ひとりの知恵と工夫が必要になります。本当は私のような70歳を越えた人間が生産部会長などをやるのではなく、30代、40代の若い人が役員として地域農業を牽引してもらいたい。日本一になるのも大事ですが、それ以上に、日本一を目指していく姿勢が重要なんです。何かを目指して行かなければ、せっかく農業をしているのにまるで夢がないですよ。馬鈴薯をつくったら、後はJAが販売してくれると思っていてはダメなんです。どこにも負けない馬鈴薯をつくるという信念で、販売や流通などを担う地元JAらとチームとしてやっていけば、拓ける未来があると思います。


赤土バレイショ

 東シナ海と八代海に囲まれた温暖な長島は、土壌の大半を赤土が占めます。目の細かい粘土質でありながら、適切な水はけの良さもありミネラル分が豊富です。馬鈴薯の栽培に非常に適した土壌で、甘く濃厚な味わいとホクホクした食感で高い評価を受けています。長島の馬鈴薯は、1997年に「長島地区赤土バレイショ」として「かごしまブランド」の産地指定を受けています。生産者の大平さんは「私は味噌汁に入った馬鈴薯が一番好きです」と語ります。

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