全農
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生産者の声
大将季(だいまさき)
西田 学さん(45歳)
鹿児島県阿久根市
柑橘、梨、水稲生産者

県職員を辞めて、新幹線で
農園に通勤する農家がいたら
農業の印象が変わりませんか?

県職員から柑橘農家へ  柑橘農家の家に生まれて、10代は後を継ぐつもりで農業の勉強をしていました。しかし実際に就職を考えるタイミングで「農業で儲かるのか?」という不安が消えなかったんです。公務員が良いとされていた就職氷河期で、鹿児島県職員の試験を受けたら運良く採用となりました。しかし、県の農業技術員として故郷・阿久根市などの果樹農家を指導する立場で働いていると、いろいろと思うようになったんです。
 一番大きかったのは、地域で若い生産者がどんどん少なくなっていく状況でした。加えて自分の家も両親の高齢化により、体力的に農地を維持するのが厳しくなる未来が見えてきたんです。次第に自分に何かできないかと思うようになっていました。その一方で、地域を回る中で儲けている農家が何人もいるのを知りました。「自分もいけるのではないか?」と考えるようになり就農を決意したんです。

新幹線で農園へ通勤する日々  両親も妻も「せっかくの公務員なのに」と猛反対でしたね。でも、私が体現したかったのも、まさにその点でした。県職員を30代で辞めて農家に転身した自分の存在を周囲が知れば、農業や柑橘農家を見直さないかなと思ったんです。
 就農してからは妻と子供が暮らす鹿児島市から毎日、農地のある阿久根市に新幹線で出勤しています。朝6時の始発に乗り、7時過ぎに実家に到着、8時半から17時くらいまで畑に出て、19時半の新幹線で帰宅するのが1日のスケジュールです。毎日新幹線で通う働き方、鹿児島市からでも農業ができる姿、そのような事実をいろいろな人に見せていきたいんですよ。

儲かるための姿勢とは?  儲からないと人は来ないし、人がいないと地域農業は成り立ちません。そういった面で、阿久根市で誕生した「大将季」の存在はとても大きいですね。この品種があるから若い人の参入も増え、2023年11月にはJA鹿児島いずみ果樹振興大会も開催されました。2006年に品種登録されてから、地元の先輩たちが良いものをつくり続けよう、なんとか数もたくさん出荷しようと頑張った成果が最近、単価に現れてきています。地元で生まれて、地元にしかない品種というのは、農家にとって誇れる存在なんですよ。儲かっている農家ほど「まだまだ足りない」と、常に栽培方法や農業経営に改善を加えていると感じます。農家や関係者がそれぞれ意識を高くし、地域農業全体が同じ姿勢で進み続けられると良いなと思っています。


大将季(だいまさき)

 鹿児島県のブランドに指定されています。1997年に阿久根市の大野孝一さんの園地で不知火(デコポン)の枝変わり(突然変異の一種)により発見され、その後、増殖育成に成功し、2006年に品種登録されました。品種名は大野さんの「大」と息子さんの「将季」さんの名前から付けたそうです。生産者の西田さんは「不知火より果皮も果肉も赤みがあり、食味はやや甘みが強いです。食べ比べると違いは分かりますね」と語ります。

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