

鹿児島県の北西部に位置する「長島」。天草諸島を構成する島の一つで、八代海と東シナ海に囲まれています。ブリやマダイ、アオサなどが豊富にとれる海の幸に恵まれた島で、古くは中国と交易を持つなど、独自の文化と歴史を育みました。島の北東の鷹巣地区には、「温州みかん発祥の地」の石碑が立っています。中国から天台宗の僧が持ち帰ったミカン類の樹木が島内で繁殖し、それらの樹の中から400~500年前に偶発的に「温州みかん」が誕生したと考えられています。
現在の日本で「みかん」と言えば、温州みかんを指すのが一般的です。本来みかんとは小型の柑橘類の総称ですが、生産量が圧倒的に多い温州みかんをみかんと呼ぶようになっています。「温州」の名前の由来は中国の有名なみかん産地である「温州府」です。「温州府のみかんのように素晴らしい」と名付けられたと伝わります。温州みかんという呼び名が広まった明治時代と考えられています。それ以前は「仲島みかん」や「唐みかん」と呼ばれていました。

江戸時代に普通に食べられていたみかんは、現在の和歌山県で栽培が始まった「紀州みかん」です。しかし明治時代になると、種無しで食味の良い温州みかんが注目されるようになり、全国に普及し生産が拡大していきました。また、アメリカでは「サツマ・マンダリン」の名で紹介され、アラバマ州では大規模な栽培が開始。「Satsuma」という名前の町が誕生するに至ります。


日本で唯一のみかんの博物館で、みかんの歴史や文化などが学べます。展示園には多くの柑橘が収集展示されており、果樹農家の研究に活用されています。
所在地:鹿児島県出水郡長島町鷹巣3786-14