全農
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生産者の声
大阪のデラウェア
仲村 文夫さん(56歳)
大阪府羽曳野市飛鳥
ぶどう(デラウェア)生産者

先祖から受け継いだ畑で
究極の正解を求め続けて
手を抜かずに向き合っています

大阪の果樹の郷  私たちの畑がある羽曳野市飛鳥は、大阪市内から電車で30分ほどの距離です。大阪の飛鳥と言うと奈良県の明日香村と勘違いされるケースもありますね。明日香村とは歴史的に関係の深い場所で、聖徳太子所縁の地も当地には点在しています。大阪は都会のイメージが強いので、「ぶどうをつくっている」と言うと驚かれる方は多いですね。畑は急斜面の山中にあるので、イノシシも良く出没するような場所です。元々、羽曳野市の辺りは桃の産地だったようで、羽曳野丘陵で江戸時代から育てられていたと記録に残っています。昭和に入って、ぶどう棚にビニールを被覆する施設栽培や、種無しを育成するジベレリン処理が進んだこともあり、デラウェア栽培が広まりました。

古墳と共存する畑  急斜面に石垣を組んで畑をつくっているのが当地の特徴です。この辺りの山々には古墳がとても多くて、石垣は古墳の周りから出た石を利用していると聞いています。私の畑の中にも古墳が現存しているんですよ。時々、専門家や愛好家が「古墳を見せてほしい」と訪ねてきて、「凄い、凄い」と感動して帰られますね。私自身は小さい頃から当たり前のように見て育っているし、なんだったら作業の邪魔だなと思っているくらいですけどね。傾斜地で作業のしやすい場所とは言えませんが、先祖代々の土地で農業を続けたいという気持ちは強いですね。それに、斜面だと上の方から温まり、上から順番に色がついて出荷していけます。平地でやると一斉に色が来て、出荷時期に手が足りなくなるんですよ。家族経営なので傾斜地の方が、丁寧な仕事がしやすいと感じます。

デラウェアの可能性  近年、全国的に見てデラウェアは大粒のブドウ品種に押されているのが実情です。確かにデラウェアは皮ごと食べられないなど、流行から外れる部分もありますが、なんといっても美味しいんでね。小さくて食べやすいし、小さい子ども受けもとても良いフルーツです。もっとデラウェアが全国的に食べられて、生産量が維持されるようになってほしいですね。
 私が所属する飛鳥葡萄出荷組合は、結束力が強くて私も今まで随分と助けられてきました。先輩方からのアドバイスの中で、「農業に正解はない。だから失敗はするなよ」と言われたのは、今でも自分の指針の一つです。良いぶどうができる確実な正解はありません。だからこそ、失敗をしないよう手を抜かずにきっちりとやるのが原点。手を抜かないでやっていれば、必ず収穫できるんです。今後も毎年、正解を求め続けて良いぶどうを生産し、デラウェアの美味しさや魅力を広めていきます。


大阪のデラウェア

 大阪府は河内地方を中心にぶどうの栽培が盛んで、30種類を超える品種のぶどうが手掛けられており、生産量は全国8位です。中でもデラウェアは100年以上の栽培の歴史があり、現在でも全国3位の生産量を記録します。山の斜面を利用した栽培が多く、山の上から順番に適切な収穫のタイミングを見極めて出荷されています。生産者の仲村さんは「食べる前に少しだけ冷やしてから食べるのが一番良いですね」と語ります。