全農
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生産者の声 とよはしキャベツ
大澤利充おおさわとしみつさん(56歳)
愛知県豊橋市西赤沢町・伊古部町
キャベツ、葉タバコ生産者

日本の食を支えるという
大きな仕事の一端を担っている
自負はどの農家も持っていると
思いますよ

 キャベツ出荷量で群馬県に次いで全国2位(平成28年野菜生産出荷統計)の愛知県の中でも、豊橋市から渥美半島の一帯は特に生産量の多い場所です。この地域でキャベツ栽培が始まったのは昭和5年。渥美郡高師村(現豊橋市)そ菜出荷組合長だった杉浦幸四郎氏の努力で優良品種が生まれ、周辺地域でも取り組む農家が増えました。昭和41年には冬キャベツが国の指定産地に、そして昭和43年に豊川用水が通水すると、生産量が飛躍的に伸びたんです。
 豊川用水は豊橋市をはじめとする東三河地域、渥美半島、および静岡県湖西市を潤す用水路です。豊川水系や天竜川水系から取水する大規模な水利事業により、当地の農業は大きく変わったと先輩方から聞きました。私は昭和40年の生まれなので、小さい頃から豊川用水の恩恵を当たり前のように受けています。それ以前は、作物に水を与えるのが、物凄く労力のかかる仕事であり、そもそも水をあまり必要としない里芋やサツマイモなどの畑が多かったようです。限られた場所でしか稲作ができず、私の祖父は父親が小学生くらいまで、半農半漁で生計を立てていたそうです。

農家に共通する矜持  最近は温暖化の影響もあり、一昔前まではキャベツをあまり栽培していなかった北陸や東北、北海道などの寒い地域からの出荷が増えています。愛知県産、豊橋産のキャベツは長年の実績で市場からの信頼を得ていますが、より一層期待に応えられるよう品質向上と安定供給に生産者や関係者全体で取り組んでいるところです。
 良いものを世の中に提供したいという農家の思いは、産地や自分達の利益のためはもちろんですが、それがすべてではありません。以前、小学校で食育の授業を担当した時に「どうして農業をするんですか?」と聞かれました。その時に、自分が手塩にかけた食料を美味しいと言って食べてくれる生活者の方がいるでしょう。農家はそういう人達のために生産しているんだよと答えたんですね。農家のみなさんは多かれ少なかれ、日本の食を支えているという気持ちがあると私は思います。基本的に農業はモノを言わない作物と向き合い、単純作業の繰り返しが多い仕事です。だから、そういう気持ちを持っとらにゃ、やっとれんのと違うかな(笑)。でもまあ本当に、そういう自負は私の中にあります。


とよはしキャベツ

 当地で冬に採れるキャベツは、形が扁平で葉のしわが少なく、葉の巻きが硬くて歯応えがあるのが特徴。火を通しても煮崩れしにくく調理用として重宝されます。一方で、春先に採れるものは形が丸く葉にしわがあり、葉が柔らかいため生食用での利用が多いとのこと。大澤さんは「キャベツの味がよく分かるので、千切りにマヨネーズが一番好きです」と語ります。

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