全農
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生産者の声
ミニトマト
桜井 孝則さん(38歳)
千葉県習志野市実籾本郷
トマト、落花生、
人参、レタス生産者

家庭生活と仕事を切り分けた
働き方をしないと、農業は周囲から
取り残されてしまうと思います

味が違う直売所の完熟作物  農地と消費地が近い都市型農業が根付く地域は、トマト以外にも多くの作物で完熟を手にすることができる恵まれた場所だと思います。やはり採れたての作物と、棚持ちを考えて青いうちに収穫したものでは、「味が随分と違う」と直売所のお客さんによく言われます。この地域では農地面積が広く取れないので、少量多品目で直売所などで経営を立てる農家が多いですね。毎日、直売所に出荷する際は、売り場をよくチェックするんです。この時期に売れているものが何で、品薄になっているものは何かを自分で確認し、来期以降の栽培計画を考えます。もちろん、持ちつ持たれつの関係性である直売所の担当者からも、「これをつくって欲しい」というリクエストやアドバイスをもらいます。

畑で生まれる食品ロスをなくす  住宅地の中で農業をしていると、堆肥の臭いや農薬散布など周囲に気を使う部分が昔に比べて増えているのは、都市型農業の仕方のない実情と言えるでしょう。他にも、トマトに関しては完熟で出荷するため、割れて売り物にならないものが大量に出てしまいます。品種をいくつも試した今では割れは少なくなりましたが、以前は、多い時期では半分くらい割れていました。例えば1週間、毎日100kg収穫したら合計で350㎏も割れるわけです。とても自家消費や知り合いへのお裾分けではさばき切れないので、畑に大量に捨てるしかありませんでした。その状態があまりにもったいないと思い、「ゴミになるくらいなら自分のトマトのPRを目的に加工品をつくろう」と考えたんです。完熟トマトを使って加工するので、一般的なトマトジュースより甘みが強いという評価をお客さんからもらっています。

現代農業の働き方とは  本当はトマトジュースでも収益が出せれば良いのですが、そこまで力を入れると本業に手が回らなくなるので、あくまで趣味的に続けています。特に今は1歳と0歳の子供がいるので、家庭を見ながらの生活で時間がいくらあっても足りないんですよ。独身の時はすべての時間を農業に使えましたが、今は随分と家庭にも時間を割いており、パートさんの雇用時間を増やして対応しています。昔と違って朝から晩まで家族総出で生活は二の次で農業に取り組む状況ではないと感じます。手が足りない時は雇用でカバーして、生活と仕事はできるだけ切り分けて、周囲の勤め人と同じような生活リズムでやっていきたいですね。農家も意識や働き方を変えていき、周囲から取り残されないようにしないといけないと思います。


ミニトマト

 千葉県習志野市などのベイエリアは、内陸に比べて海洋性の温暖な気候でトマトの栽培に適しており、生産者の桜井さんも「つくりやすい環境」と説明します。桜井さんの農場では主に花鳥風月という品種を土耕栽培で育てています。土耕ならではの特性で、トマト独特の青っぽさがあり、それが味の濃さや深みにつながります。完熟トマトを加工したトマトジュース「100% narashino」は、習志野市のふるさと納税の返礼品にも選ばれています。

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