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救済を祈る場所 救済を祈る場所

 10円玉にも描かれる平等院 鳳凰堂。平安時代に権力を最も掌握した一人である藤原道長から、家督を譲り受けた息子・頼通によって宇治に建立されました。元々、宇治には藤原道長の別荘があり、それを平等院という寺に造り変えたと伝わります。鳳凰堂は平等院を構成する一つの建物で、阿弥陀如来を本尊とする阿弥陀堂です。阿弥陀堂は平安時代後期に数多く建てられました。当時は「釈迦の死後2000年が経ち、仏法が衰えて世の中が乱れる」という末法思想が社会に広がり、貴族は来世の救済を祈るため、阿弥陀堂で念仏を唱えるようになったのです。

鳳凰堂は江戸時代以降の俗称 鳳凰堂は江戸時代以降の俗称

 鳳凰堂は時の一番の権力者が、当時の技術を結集して建てた豪華絢爛な仏教建築であり、装飾や金具、絵画なども贅沢に仕立てた最高峰の阿弥陀堂でした。国風文化を象徴する建物で、現在の日本人の美的感覚につながる造形美を有しています。正面から見た姿が翼を広げた鳥のように見えることや、屋根に一対の鳳凰が鎮座することから、江戸時代ごろから阿弥陀堂ではなく「鳳凰堂」と俗称で呼ばれるようになったそうです。

宇治の茶人がつないだ財産 宇治の茶人がつないだ財産

 平安時代に数多く建てられた阿弥陀堂ですが、現存するものは国内でも数えるほどしかありません。平等院も藤原氏が衰退すると保護もなくなり、中世後期から近世は荒廃した時代もあったと考えられています。しかし、宇治茶で財を成した茶屋や茶人らが平等院に寄進。地元の財産である寺院を守ったともいわれています。戦後は文化財として国から保護されるようになり現在に至ります。文化財保護法が施行されたのは昭和25年。平等院 鳳凰堂はその翌年に国宝指定を受けており、同年に当時の最高額硬貨であった10円玉の図案に採用されました。文化財保護の象徴として選ばれたのではないかと言われています。

平等院 所在地/京都府宇治市宇治蓮華116 平等院 所在地/京都府宇治市宇治蓮華116

庭には季節ごとの花が楽しめ、4月下旬にはお寺を開創した藤原氏に所縁のある樹齢約300年の藤が咲き誇ります。