introduce
京都府を巡る
頼らず磨いて
輝かせる
取材先:JA京都やましろ
近畿地方のほぼ中央に位置する京都府南部の山城地域。山城という地名は古くは「山背」などと記されました。この名称は奈良時代の平城京から見て、「奈良山の後ろ」にある地域であることが由来と伝わります。奈良県をはじめ、大阪府や三重県、滋賀県に接する当地には、要所をつなぐ街道が幾本も整備されました。加えて、地域を流れる桂川、宇治川、木津川の三川は、当地の北西部で合流し淀川となり大阪湾まで西進。畿内各所を結ぶ河川水運として物流と人々の往来を支えました。
平安時代以降は貴族の別荘地としても人気を集め、平等院が建てられ、源氏物語の舞台となるなど、京の都にとって特別な場所に。最高峰の文化に触れる機会の多い立地条件と恵まれた自然環境の中、宇治茶をはじめとする日本緑茶や松花堂弁当など、今の日本の食文化につながる発明がいくつも生み出されました。
現在は、多様な都市近郊型農業を展開しています。昭和初期まで宇治市の西部に存在した幻の巨大湖・巨椋池の跡地を含む平野部では、米や京野菜、花卉などの栽培が盛んで、丘陵地では全国的に有名な宇治茶を生産する茶畑などが営まれています。当地の生産者は、先人が築き上げた京野菜や宇治茶などの知名度に頼るのではなく、価値をさらに高める新しい挑戦を続けています。そのような絶え間のない進化と研鑽の連続は、遠い昔からブランドを輝かせ続ける山城地域の伝統といえるでしょう。