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生産者の声
輪菊
若杉浩寿さん(40歳)
長崎県長崎市
輪菊 生産者

限られた条件下で磨かれた
高い栽培技術があるから
質の高い輪菊ができるんですよ

 コロナ禍による冠婚葬祭の縮小によって、輪菊の需要は全国的に落ちています。そのため、できるだけロスを少なくするために、栽培技術の見直しを徹底的に行っているところです。輪菊栽培の基本は日々の管理で手を抜かないことです。水やりや病害虫の防除、冬場の夜温管理など基本作業を忠実にこなしながら、その時々の花の生育状態に合わせた管理を心掛けています。
 私が今栽培している圃場は平地で、ハウスを建てるのに適した場所ですが、主に父が手掛ける圃場は、山が多く段々畑にハウスが点在しています。そのためハウスの大きさも形もまちまちで作業効率が悪く、日照条件もそれほど良くありません。限られたスペースと条件の中で収益を上げなければいけないため、栽培の効率と技術を磨くことで市場の信頼を得てきたんです。約5年前に就農してから、父親から輪菊栽培のイロハを学びました。父親からは全方位的に色々と厳しく指導されました。特に言われたのは「基本をきちんとやる。作業を遅らせない」ですね。

菊の新しいイメージの発信  就農する35歳までは自動車メーカーで会社員をしていました。小さい頃から輪菊づくりを手伝わされて嫌になり、学生時代は継ぐ気はなかったんです。しかし、転勤で各地を転々とする可能性がある会社勤めを続けている中、家族を持つと考え方が変わりました。一つの場所で腰を据えた生活を求めて、帰郷して就農する人生を選んだんです。妻は驚いたかもしれませんが特に反対はなく、逆に一緒に手伝ってくれると言ってくれ心強かったですね。
 しかし、素人に農業はとても厳しくて、初めは考えが甘かったと思いましたよ。それでもやらないとお金になりませんから、植物を管理するという困難な作業に一所懸命に向き合いました。何年かすると、輪菊が成長していく姿にやり甲斐や面白さを見出せるようになりましたね。
 両親がつくった経営基盤を発展させるのが僕の仕事だと思っています。教えてもらった技術に新しい技法をプラスして品質を上げて、売り上げも伸ばしていきたいと考えています。最近は輪菊需要の高い葬儀の形態も変わってきているので、仏花だけにとらわれない何かを見つけたいですね。まずは、結婚式や表彰式などでのイメージがもっと広がるように、若い世代に対する訴求活動には力を入れたいと考えています。


輪菊

 長崎市で育てられる輪菊の中で白菊の主な品種は2つ。夏季に手掛ける「精の一世」は100日程度、冬季の「神馬」は120日程度、ハウスで成長させてから出荷されます。若杉さんは「植える前にフラワーネットでガイドとなるマスをつくります。マスの真ん中の列は風が通るように植えないようにするんです。マスの大きさは我が家だと10センチ。農家や圃場で異なります」と語ります。