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長崎県を巡る

異国の風薫る明媚な半島

取材先:JA長崎せいひ

 長崎県長崎市から北の佐世保市に向かって突出する西彼杵半島(にしそのぎはんとう)。別名、西彼半島(せいひはんとう)とも呼ばれるこの半島は、西は温暖な対馬海流が流入する五島灘、東は波も穏やかな湖型の大村湾に面し、沿岸漁業から海面養殖業まで豊かな海の幸に恵まれた場所です。海面上昇や地盤沈下などの何らかの理由で、陸上の谷がその形を保ったまま海面下に没してできた溺れ谷が数多く見られ、山の斜面が直接的に海面に到達する場所が点在するなど、非常に起伏に富んだ海岸線と近海に浮かぶ島々が、いくつもの絶景をつくります。

 海と山が近く大きな河川や開けた平地が少ないため、人々は限られた侵食谷や山の傾斜を切り拓き、棚田に象徴される工夫を積み上げた農業を営んできました。現在でも地域の耕地と環境を最大限に有効活用する高反収な野菜や花卉、果樹などの園芸作物の栽培が盛んです。また、半島の根元に設けられた「長崎の出島」により、当地は早くから南蛮(欧州)や大陸文化を取り入れた文化が広まりました。食の分野でも地元の山海の幸を使った和洋中の料理を円卓に並べる「卓袱料理(しっぽくりょうり)」をはじめ、明治時代に中華料理店で誕生したと言われる「長崎ちゃんぽん」など、当地ならではの食文化が花開き現在に伝わっています。