全農
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 吉井川、旭川、高梁川の3大河川から豊富な栄養分が流入する岡山県の瀬戸内沿岸は、江戸後期から良質な養殖牡蠣の漁場として発展しました。海に浮かぶ島々が風や波から筏(いかだ)を守るなど高品質な牡蠣が育つ立地条件が揃い、現在の岡山県の生産量は全国3位、シェア率は約10%になります。

 長年、岡山県では身を採った後に出る大量の牡蠣殻の有効活用が課題でした。そこで始まったのが「瀬戸内かきがらアグリ」です。牡蠣殻に含まれる良質なミネラルや栄養分を農畜産物の生産に生かせるよう、殻を加工粉砕して肥料や飼料として利用しています。近年、牡蠣殻には生きている牡蠣と同様に水質の浄化作用があることが分かり、海や河川の環境保全資材としても注目が高まっています。同事業から「里海米」が商品化されるなど、農業と漁業が手を取り合い、自然を守るリサイクル活動が進行しています。

地産地消で地域をもっと考える 里海米生産者 髙月周次郎さん

 牡蠣殻を水田に肥料として用いると稲の根の張りがとても良くなるのに加え、茎がカルシウムをよく吸収し、稲が倒れる倒伏が少なくなる効果が期待できます。陸で農業をする私達にとっても海は近しい存在で、幼い頃からの海での思い出もたくさんあります。「瀬戸内かきがらアグリ」は海だけではなく、山の上流の方から農業を通して河川を綺麗にして、地域全体を良くするという取り組みです。そこから生まれた里海米は地産地消で広げていければ良いなと私は思っています。当事業の中心はJA全農おかやまです。「農」の一字が入った団体なわけですから、当事業のような農に関わる取り組みをこれからも増やしてもらいたいですね。