全農
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生産者の声
みおしずく
松浦 日出男さん(70歳)
   弘美さん(68歳)
滋賀県蒲生郡竜王町
いちご、ぶどう生産者

60代で思い切って
農業に飛び込んで良かった
一日中、夫婦で同じ目標に進んでいます

(日出男さん) 地元の品種だから気合が入る  2023年に本格デビューした「みおしずく」は、滋賀県初のいちごのブランド品種です。今までの滋賀県では、県外産の章姫や紅ほっぺが主力品種でした。やはり地元でつくられた品種は、同じいちごをつくるにしても今まで以上に気持ちが乗ってきます。
 みおしずくの栽培で気が付くのは、章姫や紅ほっぺなどに比べると、葉っぱや茎にコシがある点です。葉っぱは大きさも高さも1.5倍程度になります。病気にも強い品種であり、摘果もあまりしなくてよいため、世話が少なくてとても育てやすいんですよ。食味は甘さは章姫ほど濃くなく、酸味も紅ほっぺより控え目です。それぞれの丁度真ん中辺りで、バランスが良い。口にもっていく時に、まず豊かな香りに気が付くと思います。爽やかさがありいくつも食べることのできる味わいですね。

人生100年時代を考えた選択  私が就農したのは63歳で、元々は制御機器メーカーで働いていました。定年後に会社に残る方法もありましたが、人生100年時代といわれる中、今後の生き方を考えたわけです。教師や塾講師をしていた妻と長年一緒に暮らしてきました。しかし、互いに忙しい日々を過ごしており、一緒にできることはないかなと思っていたんですよ。当地は農業が盛んですから、何かできないかと考えた結果、いちごに行きつき夫婦で就農を決めました。二人とも農業は初めてでしたが、やってよかったと今は思っています。農業を始めてからは話す機会が四六時中になりました。一緒に同じことを考えて技術を磨き合っています。とにかく世話が大好きな妻のおかげで、ぶどうの生産を初めてから2年目には県の品評会で2位になりました。農業には定年がありません。体力が続く限り元気に頑張りたいと思います。

(弘美さん) 植物から頂くエネルギー  実は就農が決まって直ぐに、大病が発覚し手術を行いました。だから当時の主人は、本当に大変だったと思います。農場に出るようになってからは、毎日、植物からエネルギーをもらっています。大きくなっていく作物に触れていると、励みになるんですよ。今では薬も飲まなくてよくなるほど元気に回復し、色んな人から「奇跡だ」なんて言われます。私は植物が大好きで、いちごやぶどうの手のかかる世話も全然嫌じゃなくとことんやれます。作業は基本的に分担していて、肥料や農薬などのシステム的な管理は主人が、摘葉や摘果の管理は私が主に担当しているんです。摘果などは私の方が随分と大胆に進めていく印象がありますね。二人で無理せず、とにかく品質の良いものを安全に届ける。そして自分達も健康に農業を続けていきたいと考えています。


みおしずく

 いちごは生食での消費量は日本が世界一位ともいわれます。国内には品種が約300種も存在しており、品種の数でも世界の中で大きな割合を占めています。近年では各都道府県がブランド品種の開発に力を入れており、いくつもの有力な「ご当地ブランド」品種が新たに誕生しました。県内全域でさまざまな品種のいちごが栽培されてきた滋賀県でも、2016年から品種育成に取り組み、2023年に「みおしずく」を本格デビューさせました。