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滋賀県を巡る
古今かがやく水瓶のほとり
取材先:JAグリーン近江
滋賀県の中東部に位置する東近江地域は、東にそびえる鈴鹿山脈から西の琵琶湖に向かって、北は宇曽川(うそがわ)や愛知川(えちがわ)が、南は日野川が流れています。山の麓にはなだらかな丘陵地が広がり、湖に近づくにつれて沖積平野や扇状地などの平地が現れるなど、起伏に富んだ地形では、古くから多様な農業が営まれてきました。
古代より中山道をはじめ数多くの街道が走るのも当地の特性で、湖上交通も含めて交通の要所としても重きをなしました。中世には当地の安土が天下統一を目前に控えた織田信長の本拠となり、商売の規制を緩和した楽市楽座が開かれました。また、江戸時代には全国の物品を廻した近江商人を輩出するなど、経済面でも日本の発展に大いに貢献します。
現在の当地には、中世から引き継がれる水郷が残るのをはじめ、古代から近代まで数多くの文化財や遺跡が点在しています。農業では「近畿の米蔵」と呼ばれるほどの米どころであり、麦や大豆の生産にも力が入れられています。また、近江牛やいちごの「みおしずく」などのブランド品目や、日野菜といった伝統野菜など地域独自の農業も盛んです。近年は近畿の水瓶である琵琶湖の保全も視野に入れた環境配慮型の生産体制や、AIやIoTなどの最新技術の導入が進むなど、新しい農業の形が広がりつつあります。