トルコギキョウ
農業を嫌って避けていましたが
やっぱり、太陽の下で働く
仕事って
良いですよね
5年前に20年間の工場勤めを辞めて、実家の農業を継ぎました。両親が花卉、果樹、米の複合経営で規模もそれなりに手掛けており、このまま終わらせるのはもったいないし、自分が定年を迎えてから始めるのは大変だろうから、40歳を超えた辺りで決断したんです。工場勤めが長くなるにつれて「日の当たる仕事をしたい」と思うようになっていたのも大きかったですね。でも、子供の頃は農業が嫌いでした(笑)。農作業の手伝いをよくさせられて、特にゴールデンウィークにりんごの木の下に藁を広げる作業が記憶に残っています。作業に対する成果が実感できないし、せっかくの休みに遊べないし面白くなかったですね。私が中学生の頃に、両親は新たに花の栽培を始めており、ハウスを建てる時に駆り出されたのも今では良い思い出です。
成長を見極める目利き
我が家は作物の複合経営を行っており、今はりんごと桃の世話をメインに担当しています。花も同時進行で作業をするのですが、果樹に比べて花は難しく、まだまだ勉強が必要だと痛感しているところです。果樹は木になっている実の色や形を見比べて、良いものを残して余計なものを取り除けます。しかし、花の場合は茎も枝も葉っぱもまさに成長していく中で、どの枝を残すかを判断しなければなりません。残した枝が期待通り上まできれいに伸びていくかの見極めが、5年目くらいだと難しいですね。
花卉栽培のメインとなるトルコギキョウは、比較的育てやすい部類に入りますが、10~15種類を手掛けており、それぞれに適した世話をしなければいけないのが工夫のいる点です。特に我が家は種から育てるので、梅雨前は成長にばらつきが出やすいんですよ。また、その年にどの品目を植えるかを選ぶのも農家の重要な目利きの一つで、人気の高い売れる品目を育てていると「当たり」となります。
花のポイントは人それぞれ 同じ花の品種でも人によって好みの種類が違います。私はトルコギキョウなら花びらの先がフリルのようになった白色にほんのりとピンク色が出ている花が好みです。でも、女性は緑色の花色を好む人が多いと感じますね。花の蕾を見るという人にも出会ったことがあります。好きな花や注目するポイントは自身の感性によるところが大きいので、気に入ったものを自由に選んで花を楽しんでもらいたいですね。これから毎年、経験を一年ずつ積み重ねながら、栽培技術の精度を高めていき、一人でも多くの人の心に留まる花を出していきたいですね。
トルコギキョウ
長野県は花卉栽培が盛んで、トルコギキョウをはじめアルストロメリア、カーネーション、ダリア、シャクヤクなどの生産量が日本一です。トルコギキョウの原産地はアメリカのテキサス州で、日本では長野県で初めて栽培されたといわれています。出荷時にかなりの数の蕾を落として、一本の樹に花3輪以上、蕾3個以上を残すのがJAグリーン長野の規格です。山岸さんは「残す蕾は、咲きそうなもの、大きなものを選ぶ」と語ります。