

長野県の代表的な郷土料理の一つである「おやき」。小麦粉やそば粉を水で溶いて練った生地に、さまざまな具材を包み、全体を丸く成型します。野沢菜や切り干し大根などのお惣菜から、丸なすや大根など季節の野菜、あんこなど、地域で採れる食材が具材です。地域や店、家庭ごとに調理法があり、蒸かし、蒸かし焼き、焼き蒸かし、揚げ蒸かし、焼きなどさまざまな種類が存在。長野市を含む北信は、蒸し系が多いといわれます。
おやきの歴史は大変古く、長野市北西部の縄文時代の遺跡から粉を練って焼いた跡が発見されており、一説にはその周辺の山間部におやきのルーツがあるといわれます。山間部は米づくりがしにくい一方で、小麦が多く栽培されており、独自の粉食文化が育まれたと考えられています。昼夜を問わず炊いていた囲炉裏の端の灰を利用して焼き、農作業の合間などの食事やおやつとして食されました。また、冬の保存食としても重宝されていたそうです。
山間部で発展したおやきは、里や町へと広がる過程で、土地の背景などからつくりかたにアレンジが加えられました。例えば、善光寺のある長野盆地では、商売人が多かったことから、もっとも簡単にできあがる「蒸かしおやき」が普及したそうです。今では現代人の食の好みに合わせたさまざまなバリエーションのおやきが存在。コンビニエンスストアに置かれるなど、長野県民のソウルフードとして日常的に食されています。

油で表面を焼いた後に蒸かす、おばあちゃんから引き継いだ長野市南西部の代表的な製法でその日の分だけつくります。
所在地 長野県長野市青木島2-2-1

独自の揚げ焼き製法で、生地の外はカリッと香ばしく、中はもっちりとした食感が特徴。
所在地 長野県長野市篠ノ井杵淵7-1