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熊本県を巡る

蒼海に輝く団結の島

取材先:JA本渡五和

 熊本県の西海に浮かぶ120余の島々からなる天草諸島。蒼い海と緑豊かな山々が生み出す雄大かつ四季折々に変化する風靡な景観が、多くの観光者を惹きつけます。九州本土と主要な島々の往来に利用する天草五橋が開通したのは1966(昭和41)年で、それ以前は船が島への交通手段でした。天草諸島に暮らす人々は農業と漁業を産業の柱にしながら、長い歴史の中で離島ならではの独自のライフスタイルや文化を成熟させました。
 中世の昔は「土着の豪族の力が強く統治の難しい場所」として知られ、「恩賞として天草諸島を与える」と提案された名将・加藤清正ですら辞退したそうです。島外の支配層から独特な場所と認識されたのは、海によって隔離された環境で暮らす島民らが育む、相互援助の精神から産まれた固い結束が一因に挙げられるでしょう。天草諸島の一つである通詞島に住む古老は「通詞島にかかる橋ができる前は島民のほとんどが漁業で暮らし、何をするにもまとまりがあった」と幼き日の思い出を語ります。

 現在でも、団結の文化を源泉に天草ならではの発展の道を切り開く姿はあちこちで見られます。農業分野では限られた田んぼを活かす早期米の栽培に力を入れ、少ない人員でも管理を可能にするICT技術を積極的に導入。その他にも生産者らが知恵を出し合い特産品へと成長させた、天草黒牛や地鶏の天草大王、デコポンなど数多くの逸品を産出しています。

*JA本渡五和の管轄地は、熊本県天草市(本渡地域・五和地域)です。