introduce
三重県を巡る
山間に忍ぶ産品の宝庫
取材先:JAいがふるさと
三重県北西部に位置し、京都府、奈良県、滋賀県と隣接する伊賀地方。当地には約400万年前に琵琶湖の前身「大山田湖」が出現し、地殻変動などで湖自体が北上した後に、伊賀盆地が形成されました。人々の生活の中心となった伊賀盆地は、大和街道・伊賀街道・初瀬街道がはしるなど古来より交通の要所となります。中世には城下町や伊勢神宮への宿場町が賑わいを見せ、多様な文化を磨いていきました。
内陸盆地であるため一日の寒暖差が大きく、特に秋冬の朝夜の底冷えは厳しく霧がよく発生します。伊賀出身の俳聖・松尾芭蕉は故郷で開いた月見の宴で、「名月に麓の霧や田のくもり」と目に映る情景を詠みました。月明かりが照らす中、山の麓から平地の田んぼまで霧に包まれる様子は、現在も変わらず見ることができます。
伊賀盆地の霧は、当地の農作物にもさまざまな恵みを与えます。伊賀米をはじめ野菜や果物、畜産、地酒に至るまで、「甘みを感じる美味さ」というのが共通する評価です。朝霧の中、収穫される新鮮で瑞々しい農産物は、当地の食卓を豊かに賑わせます。