全農
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生産者の声
くまさんの輝き
坂井 信房さん(62歳)
熊本県上益城郡嘉島町
米、麦、大豆 生産者

農業の現場や作物栽培の
実情をもっと知る機会が
増えると良いですね

 私が住んでいる嘉島町には、約300軒の農家が存在しています。約10年前に、町内の農家の多くが所属する集団営農を組織して、米や麦、大豆を栽培する体制を整えました。6月末に田植えをし、7月に大豆の種まきを行い、10月に稲刈りを終わらせて、11月に大豆を収穫します。その後、裏作として10月下旬から麦の種を撒き、田植えの始まる前、5月末から6月上旬に収穫するのが一年の流れです。米と大豆は毎年同じ場所に植えるのではなく、転作をしながら栽培します。集団でやると取引量が多くなるので、販売の際は大きなメリットが生まれますね。まだ始めてから10年ですので、改善が可能な課題点はいくつもあると感じますが、現時点では上手く行っていると思います。米や小麦、大豆などを乾燥、貯蔵、調整、集荷まで管理するカントリーエレベーターは、熊本地震の前までは町内に2つ。震災後に一つにまとめることとなり施設も立派になりました。我々も大切に利用しており2020年と2021年には、JA熊本経済連が事務局を務めるカントリー美化コンクールで最優秀賞を受賞しています。

昔は一週間、今は数時間  最近は、小麦の値段が上がっていて、手掛ける私達でも「高いな」と感じます。しかし、我々農家の売値はなかなか上がっていないんです。60キロで約1000円と、補助金がなかったら赤字です。米に関しても同じですが、資材費だけが年々高くなり、経費が増えています。昔は米も60キロあれば一週間くらい遊べたと今の80歳以上の方から聞きますが、今なら数時間で終わりという感覚です。世の中の物価指数の上昇に照らし合わせると、米はもっと高くなってもいいはずなんです。農業現場の実情をもっと知ってほしいという思いはありますね。
 私は約20年前に兼業農家から専業農家になりました。正直、勤めていた方が収入面では楽でしょうね(笑)。勤め人だと毎月決まった金額が入ってきますが、私達のような農業経営では作物が収穫できる年に何回かしか収益がありません。災害に遭えばまったく入ってこないことだってあります。自分の代わりがいない仕事でもあるのできつい時もありますが、その反面、自分で時間を調整して働けるのは良い点だと思います。若い頃は時間をつくっては、魚釣りやゴルフにしょっちゅう行っていました。それに、自分でつくった米を買ってくれた方から「これ美味しいね」と言われた時は、それはもう嬉しいんですよ。


くまさんの輝き

 南海137号と中部98号の交配で誕生した品種で、熊本県農業研究センターが15年の歳月をかけて育成し、2018年に本格デビューしました。光沢があり、粘りが強く、食味の良さなどが特徴として挙げられます。坂井さんは「硬質系の米でさっぱりしていると私は感じます。美味しいお米なので知名度が上がれば売れ行きも良くなると期待しています」と語ります。