えだまめ
同世代や女性の仲間が増えて
農業に対するやる気が
益々湧いてきました
就農した10年前に比べて、私の周りでは女性農家や若い就農者が増えたと感じます。新規就農より実家を継ぐ人の方が多い印象ですね。以前はとにかく生産して、出荷するという形態で、なかなか生活者と顔を合わせる機会がありませんでした。しかし最近はマルシェや販売会など、生活者と直接コミュニケーションを取る試みも多くなりました。また、六次産業化に力を入れる地域や団体も増え、ゼロからすべてをプロデュースする農家の姿を見て、農業の変化を感じる跡取りもいるのだと思います。
数年前には秋田県内の女性農業者が集う「あきたアグリヴィーナスネットワーク」というグループができて、自ら生産した農産物を原料にした農産加工品を一緒に販売するなどの活動がスタート。他にも、大曲大仙地域の若手農家が集まり、イベントを一緒にやる機会もできて横のつながりは増えましたね。
女性、若手農家ならではの悩み やはり農家の悩みは農家にしか相談できないんですよ。同世代の女性農家同士だと、日焼けとシミ問題などの美容関係の話もします。女性でも夏はこんがり焼けて、農家は農家らしくという感じの人が多いですね。後は出産や育児についても話が出ますね。私もお婿さんをもらって数年が経ち、そろそろ子どものことも考えます。主人は会社員ですし、農作業が始まると私が休むわけにもいきません。代わりの労働力の確保や農業経営の見直しなど、調整しなければいけない問題が多々出てきます。20代から女性が農業を始めた場合、同じ悩みを持つ方はいるでしょうね。
心に刻む4つの「しん」
我が家は代々の農家で、小さい頃から祖父母が飼っていた牛の餌やりや収穫の手伝いなど、一人っ子ということもあって、ずっと畑や田んぼで遊んでいました。「私が継ぐんだ!」という使命感を持ちながらも、自然と戯れる延長で今の仕事をしている感じです。
元々我が家は米一本の経営でしたが、私が就農する時に秋田県で「目指せえだまめ出荷量日本一」というプロジェクトが始まり、祖父もその事業に関わっていたこともありえだまめを始めることにしたんです。しかし私は、岩手の農業大学校でナスの栽培研究をしていたので、当初はえだまめの知識がありませんでした。JAの指導員に教えてもらいながら、栽培講習会に頻繁に出かけて、手探り状態で世話を続けましたね。10年が経ってようやく形になったという気がします。秋田県はえだまめ出荷量で全国1位にもなりましたし、JA秋田おばこの枝豆部会も約240人が参加するようになりました。私は同会で監査委員を務めていて、年上の農家さんに栽培方法について質問される機会も多くなっています。高齢の方からは「おめえさん任せだぁ」と言ってもらうことも。人生の先輩である、じっちゃ、ばっちゃと話していると学びもあるし凄く楽しいですね。就農当初の部会長さんは「農業には、辛抱、真剣、信頼、新鮮の四つの『しん』が大切だ」と教えてくれました。その言葉が凄く心に響いて、今も大事にその教えを守りながら日々農業に向き合っています。
えだまめ
大豆がまだ青く熟していない時に、枝ごと収穫したものをえだまめといいます。秋田県では2010年に出荷量日本一を目指す「えだまめ販売戦略会議」が発足し、2015年と2016年には東京都中央卸売市場の7~10月の出荷量で日本一を達成。2019年にも京浜地区中央卸売市場で年間出荷量日本一になっています。小松さんは「昼夜の大きな寒暖差と秋田米を育てる肥沃な大地が、香り豊かな甘く美味しいえだまめを育てるんです」と語ります。