秋田県仙北市にある玉川温泉は、火山の噴火跡であるカルデラの中にあり、毎分約9,000リットルという「1ヵ所からの湧出量日本一」と、pH1.2という「日本一の強酸性」の泉質を有する湯治場です。世界でも珍しい塩酸が主成分の温泉で、当地で産出される北投石はラジウムを含み放射性を有します。アトピーや喘息をはじめ、さまざまな効能が期待できると言われており、全国各地から湯治客が集まります。
単一源泉湧出量が日本一の大噴(おおぶけ)と呼ばれる源泉とその周囲は、見学ができるように遊歩道「自然研究路」が整備されています。大噴以外にも岩肌がむき出しの地面のあちこちから、地下で熱せられた水が吹き上がる源泉や、硫黄成分で鮮やかな黄色に染まる噴気孔から勢いよく噴き出す蒸気の様子を近くで見ることができます。また、地熱の影響で約50℃に温められた岩場がいくつもあり、ゴザを敷いて「天然の岩盤浴」で身体を癒すことも可能です。大自然に囲まれた中での岩盤浴が楽しめる希少な場所であり、岩盤浴発祥の地としても知られています。
玉川温泉が発見されたのは1680年。硫黄の採掘をしていた人が源泉を見つけたと伝わります。温泉場として開業したのは1934年(昭和9年)で、その際に玉川温泉と名付けられました。古くから近隣の農家が稲作が始まる前の春や収穫後の秋に、1〜2週間、当地を訪れて心身の疲れを癒し英気を養ったそうです。