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富山県を巡る

北前船と共に進んだ
「富山」の文化

取材先:JAなのはな

 食料量販店などで「とろろ昆布のおにぎり」や「昆布パン」が売られるなど、富山市では昆布を使った料理が親しまれています。国の家計調査では昆布の1世帯当たりにおける年間支出金額で富山市は何度も1位に。同市の消費の多さは、昆布が日本全国に広まった江戸時代の物流が関係しています。当時、北海道の昆布を大阪に運んでいた北前船の中継点だった当地には大量の昆布が運び込まれ、昆布は富山の食文化に浸透したのです。他にも北前船による物流網は、「富山売薬」の成長に重要な役割を果たすなど、現在に繋がる当地の産業や文化の発展に大きな足跡を残しました。

 農業分野では肥料として全国で重宝されたニシンの搾りかすが、北前船で当地に運ばれたことが大きかったでしょう。江戸時代中期、同市の交易港周辺には肥料を扱う多数の商家があったと伝わります。同市のほぼ中央を北進する神通川は古くは暴れ川として知られましたが、江戸時代の治水工事や肥料の確保などにより流域の農業生産力が向上。下流域まで優良な米の生産地に変わりました。現在ではコシヒカリをはじめ、富山のブランド米である「てんこもり」や「てんたかく」などのうるち米から、酒米、もち米まで、秋になると黄金の実りに溢れます。