agrifuture vol.48
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土佐国中部を歩く取材先:JAとさし 高知県のほぼ中央、高知市の西隣に位置する土佐市。南に温暖な黒潮が流れる太平洋を望み、北にそびえる四国山脈から南下する清流・仁淀川や、市の中央を西から東へ流れる波介川(はげがわ)など、豊かな水源が大地を潤す。 豊かな自然環境に加えて全国屈指の日照量を誇るこの地は、まさに「農業適地」であり、数多くの特産物を産出している。高品質で知られる「メロン」や、柑橘の中でも栽培が難しいとされる「小夏」、環境配慮型の農法で育てる「ピーマン」、全国屈指の生産量を誇る「生姜」「ユリ」など、園芸王国・高知県を質・量両面から支えている。 そんな土佐市の農業は若い力で満ちている。30代前半で生産部会の部会長に抜擢された若手が複数名存在し、先輩農家が温かく、時に厳しくサポートしている。あるベテラン農家は「この土地の人はおおらかで世話焼きが多いんですよ。良好な気候と環境が影響しているんですかね」とほほ笑む。 若手を重要なポストに推したてる理由は、農業と地域の将来を見越した先行投資だという。「若手にしか地域の未来は作れない。そのための助力は惜しまない」と先輩農家が語ると、「きっちり成長して周囲に返していく」と若手農家も意気込む。この関係は土佐市の特産物の一つである「生姜」の生態によく似ている。 生姜の親である種生姜は子供が成長するまでは、養分を与え続けるため小さくしぼむ。しかし、成長すると逆に子供が親へ栄養を返すので種生姜は大きく膨らむのである。次代を慈しみ先代を敬う地域の気質――。この地域性がある限り、豊かな大地は毎年大きな実りに恵まれることだろう。JAとさしの管轄地域は、高知県土佐市です。大切なもの全てがここにあるP.01高知県土佐市
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