AGRIFUTURE_Vol.46
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P.03 親父は大玉トマトを軸に経営していましたが、3年前に私が農地を引き継いでからはミニトマト中心に切り替えました。さいたま市という場所で新参者が生き残るためには、どう進路を取るべきか考え抜いた結果です。周囲でミニトマトを手掛ける人は少なく、需要があると見込んで選択しました。飲食店との直接取引が主軸ですが、百貨店などで扱う高級品もターゲットとしています。多岐にわたるニーズに応えるため、国内はもとより海外の種苗会社にも足を運び、常に良いものを探しています。手掛ける品種の数は徐々に増えて、現在では約20種類を栽培・販売するようになりました。 新しい栽培技術の導入も積極的に行っています。農業界で注目されているフィルム農法やKFT農法という光冷房システムなどをハウスに取り入れ、コスト削減と安定供給を追求しています。導入には費用がかかりましたが、「ダラダラしていたら農家になった意味がない」という信条の基、決断しました。 今は情報を貪欲に収集しつつ、人とのつながりを広げていき自分なりの農業を模索している感じです。都内の学童クラブと一緒に農業教室を手掛ける話や、人事コンサルタントと企業研修を受け入れる話も進めています。農家の生活はなにかと波が大きいですけど、農業を始めてからは自分の視野がぐんと広がったと思います。以前は公務員をしていましたが、今思うと狭い自分の世界に満足していた気がしますね。 自分が大きく変わったのは親父の死がきっかけでした。元気に働いていたのに癌で急に倒れたんです。死にゆく親父を看病しながら、自分はどう死にたいかを考えるようになり、「死ぬ時に後悔しない人生」という明確な基準生き残るための積極性人生と自分を変えた父の他界榎本健司さん(38歳)埼玉県さいたま市西区ミニトマト生産者農家になったのにダラダラしていたら意味がない最期に後悔しないよう、農家を楽しんで広い視野で色々な活動に挑戦していきたいんですよ
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