AGRIFUTURE_Vol.46
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P.09JAさいたまの特産品 埼玉県内では都市部での需要が高まった昭和40年頃から、トマトが積極的に栽培されるようになった。さいたま市でも大玉を主体に栽培しているが、都心部に近いという立地を生かして品質とニーズを追求し、少量多品目の農業を営む生産者も多い。生産者の榎本さん(→P.03)も20種類以上のミニトマトを手掛けるなどトマトの研究に余念がない。「ご高齢の方から子供までニーズはさまざまなんですよ。美味しく実るよう品種ごとに栽培方法を調整しています」。ニーズに合わせた多様な品種「トマト・ミニトマト」 綾瀬川と伝右川の埼玉県内流域で江戸時代から盛んに栽培されたと伝わる。さいたま市緑区で栽培されているのは「青慈姑」と呼ばれる高級品で、地下茎にたくさんの子供を実らせる生態や、長く立派な芽を出す姿から「子孫繁栄」「めでたい」ということで縁起を担ぐおせち料理で重宝されている。生産者の若谷さん(→P.05)は「食感は栗に近く、ややほろ苦い味が特徴です。甘く煮付けるのが昔ながら調理法ですが、素揚げやチップスにしても美味しいんですよ」と語る。正月料理に欠かせない日本伝統の縁起物「埼玉慈姑」 埼玉県では「とちおとめ」をはじめ、「やよいひめ」や「紅ほっぺ」などを市場出荷する生産者が数多い。その一方で、生活者との距離が非常に近いさいたま市では観光農園を営む生産者も多く、生活者のニーズを取り入れながら独自の農業経営を行っている。生産者の岡田さん(→P.07)もその一人だ。「当園で発見した新種『レイベリー』は他にないオリジナル品種なので人気が高いですね。自分の名前で商売をしているので品質にはとことんこだわっています」。さいたま市域の自然環境と土地条件を生かして作られる「いちご」くわい
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